機械学習/Pythonで決定木を使う のバックアップ(No.5)


はじめに

ここでは、Pythonのデータ分析ライブラリーであるpandas、機械学習ライブラリーであるscikit-learn、実行環境であるJupyter Notebookを用いて、決定木による分類を行います。

分類とは、答えがある機械学習である教師付き機械学習のうち、答えがカテゴリー、ラベル、クラスと行った離散値であるもののことです。

scikit-learnに付属するデータを用いているサンプルはたくさんありますが、自分で実践するときは、データ・ファイルの読み込みからやらないといけません。 そこで、ここでは、DeepAnalyticsフォーマットのファイルを想定して、データ・ファイルの読み込みから予測結果の出力まで、一通りやります。

この内容は、以下の環境で確認しました。

  • Python 3.5.1
  • pandas 0.20.2
  • NumPy 1.13.0
  • scikit-learn 0.18.1
  • Jupyter Notebook 5.0.0
  • IPython 6.1.0
  • Graphviz 2.36.0
  • pydotplus 2.0.2

データ

ここでは、irisデータをサンプルとして用います。

このデータセットは,アヤメの種類(class)を花びらの長さ(sepal length),幅(sepal width),がくの長さ(petal length),幅(petal width)によって分類する問題です. 長さと幅は連続値,種類はIris-setosa, Iris-versicolor, Iris-virginicaのいずれかをとる離散値です.

DeepAnalyticsのフォーマットに倣って、訓練データを train.tsv、テストデータを test_X.tsvとして、タブ区切りのCSVファイルで保存されているものとします。

今回のサンプルファイルはこれです。

train.tsv

train.tsvはこんな感じです。

idsepal lentghsepal widthpetal lengthpetal widthclass
24.931.40.2Iris-setosa
526.43.24.51.5Iris-versicolor
1016.33.362.5Iris-virginica
..................

test_X.tsv

test_X.tsvはこんな感じです。

idsepal lengthsepal widthpetal lengthpetal width
15.13.51.40.2
5173.24.71.4
1037.135.92.1
...............

データの読み込み

pandasのread_csvを使って、タブ区切りのCSVファイルを読み込みます。 タブ区切りなのでdelimiterオプションを、先頭の列がインデックスなのでindex_colオプションを指定します。

import pandas as pd
df_iris_train = pd.read_csv('train.tsv',  delimiter='\t', index_col=0)
df_iris_test  = pd.read_csv('test_X.tsv', delimiter='\t', index_col=0)

読み込んだデータは、pandasのDataFrameとなります。 次のようにすると、Jupyter Notebook上でDataFrameを確認できます。

df_iris_train
df_iris_test

決定木の学習

まず、訓練データから、入力Xと出力yをNumPy.Arrayで取り出します。

X = df_iris_train.drop('class', axis=1).values
y = df_iris_train['class'].values

dropはDataFrameから行または列を取り除きます(axisオプションで行か列かを指定します)。 valuesはDataFrameをNumPy.Arrayに変換します。

Scikit-learnで決定木学習を使うには、sklearn.tree.DecisionTreeClassifierクラスを使います。 fitでモデル(ここでは決定木)を学習します。

from sklearn.tree import DecisionTreeClassifier
clf = DecisionTreeClassifier()
clf.fit(X, y)

学習したモデルのスコアを確認します。 sklearn.tree.DecisionTreeClassifierのスコアは、正解率 (mean accuracy) です。

clf.score(X, y)

学習した決定木の可視化

可視化にはGraphvizとPythonのpydotplusパッケージを使います。

Graphvizはグラフ描画ソフトウェアで、下記のサイトからダウンロードできます。 (macOS Sierraの場合、mountainlion版のgraphviz-2.36.0.pkgをダウンロードします。)

pydotplusパッケージがインストールされていない場合は、ターミナルでpip3を使ってインストールします。

$ conda install pydotplus

インストールができたら、Jupyter Notebook上でグラフを作成して描画します。

import pydotplus
from IPython.display import Image
from sklearn.externals.six import StringIO
from sklearn.tree import export_graphviz
dot = StringIO()
export_graphviz(clf, out_file=dot,
                feature_names=df_iris_test.columns,
                class_names=df_iris_train['class'].unique(),
                filled=True, rounded=True,)
graph = pydotplus.graph_from_dot_data(dot.getvalue())
Image(graph.create_png())

次のような決定木が表示されます。

nolink

この決定木は、ノードの1行目に書かれた条件が満たされるときは左の枝に、そうでないときは右の枝に進みます。 葉にたどり着いたら、その葉が表すクラスに分類します。

したがって、この決定木は、以下のようなルールを表していることになります。

  • petal lengthの値が2.45以下ならば、Iris-setosa
  • petal lengthの値が2.45より大きい、かつ、petal widthの値が1.7以下、かつ、petal lengthの値が5.0以下ならば、Iris-versicolor
  • petal lengthの値が2.45より大きい、かつ、petal widthの値が1.7以下、かつ、petal lengthの値が5.0より大きい、かつ、sepal widthの値が2.75以下ならば、Iris-versicolor
  • petal lengthの値が2.45より大きい、かつ、petal widthの値が1.7以下、かつ、petal lengthの値が5.0より大きい、かつ、sepal widthの値が2.75より大きいならば、Iris-virginica
  • petal lengthの値が2.45より大きい、かつ、petal widthの値が1.7より大きいならば、Iris-virginica

学習した決定木による予測

まず、テストデータの入力XをNumPy.Array形式に変換します。

X = df_iris_test.values

ここでは、訓練データの入力Xを上書きしていますので、注意しましょう。

predictメソッドで学習したモデルに基づいてラベルを予測します。

p = clf.predict(X)

予測したラベルの出力

DeepAnalyticsでは、予測した結果をヘッダなしのCSV形式のファイルとしてアップロードします。

そこで、予測したラベルをCSV形式で出力します。 このとき、テストデータを参照してインデックスとします。

pd.DataFrame(p, index=df_iris_test.index).to_csv('predict.csv', header=False)

sklearn.tree.DecisionTreeClassifierのオプション

上の例ではデフォルトのパラメーターで決定木を学習しましたが、いくつかのオプションが用意されています。

例えば、評価基準 (criterion) を情報量利得 (entropy) に、木の深さの最大値 (max_depth) を3にして実行すると、次のようになります。

clf = DecisionTreeClassifier(criterion='entropy', max_depth=3)

nolink

irisデータでは学習パラメーターを変更してもあまり効果がありませんが、実際のデータを分析するときには学習パラメーターを調整する必要があります。

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