SIG-FIN(人工知能学会 ファイナンスにおける人工知能応用研究会)の第1回研究会を東京理科大学 九段校舎で行いました.
当日の様子
まず最初は,主査である東京工業大学の寺野隆雄さんが挨拶をしました.
パソコンが不調のために発表の順番が入れ替わり,1件目の発表は,CMDラボの松井宏樹さんによる「移動平均算出期間の動的な調整手法による価格変動の解析」でした.
強化学習におけるステップ・サイズ・パラメーターの調整のテクニックを移動平均算出期間の調整に使うという話でした.
2件目の発表は,東京大学の平林明憲さんによる「遺伝的アルゴリズムによる外国為替取引手法の最適化」でした.
GAを用いてFXの取引戦略を獲得する話でした.
3件目の発表は,私の「強化学習を用いた金融市場取引戦略分析システムの試作」でした.
強化学習を用いて取引戦略を獲得して可視化するシステムを紹介しました.
4件目の発表は,東京大学のAranha Clausさんの「Memetic Algorithmを用いたポートフォリオ最適化」でした.
木構造の遺伝子表現によるGAと局所探索を組み合わせたMemetic Algorithmで株式の保有比率を決定するという話でした.
お昼休みをはさんで5件目の発表は,島根大学の阿部秀尚さんの「時系列ルール・マイニングによる株売買支援ルールの評価」でした.
時系列パターンをクラスタリングしてから決定木学習を行い,各銘柄の株価が上昇するの下落するのかを予測するという話でした.
6件目の発表は,産業技術総合研究所の和泉潔さんの「テキスト情報と市場時系列データの統合分析」でした.
私も共著者です.
日銀の月例報告の中で共起する単語を分析し,それに基づいて月末の金利を予測するという話をしました.
7件目の発表は,大阪市立大学の橋本文彦さんの「人は,過去の株価時系列にどのような未来を投影するのか?」でした.
時系列データを画面にプロットしてその後を予測してもらうという実験についての話でした.
続いては招待講演で,一橋大学の三隅隆司さんの「行動ファイナンスの可能性と限界」でした.
最近は証券会社や取引所から取引データをもらうことができなくなったので,人工市場シミュレーションが重要になるだろうとのことでした.
コーヒー・ブレーク兼ビジネス・ミーティングをはさんで8件目の発表は,東京大学の松原紀明さんの「アクティビストの株式保有に対する市場の反応」でした.
スティール・パートナーズのような「モノ言う株主」が大量保有しているカブに関する銘柄について,経済ニュースなどのテキスト・マイニングと人工市場シミュレーションを組み合わせて分析する話でした.
9件目の発表は,スパークス・アセット・マネジメントの水田孝信さんの「実市場データをもとにポートフォリオ運用を行うエージェントを用いた人工市場による株価予測」でした.
人工市場シミュレーションのエージェントにニューラル・ネットワークによるを学習をさせてより現実に近いシミュレーションをするという話でした.
10件目の発表は,シンプレクス・テクノロジーの阿部亮さんの「金融取引における動的均衡での執行精度について」でした.
価格の均衡状態を約定力と執行精度という概念で理論的に説明しようとする試みについての話しでした.
感想
研究会を開催するのは初めてだったためうまくいくかどうか心配でしたが,なんとか無事に終えることができました.
これまでは参加させてもらっているだけでしたが,研究会を開催するのってけっこう大変なんだなぁということを実感しました.
研究会としては,幅広いテーマの発表が集まり,様々な観点からコメントが出てとても良かったと思います.
個人的には,運営の準備のために自分の発表の準備が少しおろそかになってしまったことは反省すべき点です.
今思うと当たり前ですが,いつもと同じ時間感覚で発表準備をしていてはダメでした.
金融業界・大学・研究所からたくさんの方々に参加していただき,本当にありがとうございます.
次回もよろしくお願いします.