京都市立堀川高校校長の荒瀬克己さんが,日経ビジネス・アソシエ2008年2月5日号のロング・インタビューの中で,若いうちは楽をするなと述べています.
——「1年で国公立大学現役合格者を100人増やした」「堀川の奇跡」.このような見出しを,ここ数年多くのメディアで見かけるようになりました. 2001年は6人だった国公立大学の合格者数を1年で一気に106人まで増やした. 以降毎年,同合格者数は100人を超え,30人以上の京都大学合格者を出し続けている躍進ぶりは,様々な教育関係者の間で注目されています.(略)
「二兎を追うものは一兎も得ず」と言いますが,改革を進めてきた中で,私たちはあえて「二兎を追え」という言葉を生徒たちに託してきました. 「大学受験に必要な学力を身につけるために知識を習得すること」,つまり偏差値等の見える数字. もう1つは「自ら考えて取り組む勉強」,これは目に見えにくい数値化できない力. この2つは教育には不可欠だと考えた.
目に見える数字は,周囲から個人を判断する1つの材料になるし,チャンスをつかむための要素になる. でも,見える数字だけに固執するのはいけない. だって一流大学に入るのが人生のゴールじゃないでしょ. 大学で何を勉強し,どんな社会人になりたいのかが大事. その人から偏差値を引き算して何が残るのか,それが社会に出て最も重要視される要素ですよね.(略)
探究基礎(という堀川高校で行われている授業)を例に出して説明しますと,半年単位でホップ・ステップ・ジャンプという3つのステージを経験します.
ホップは入門編. コンピュータ・ソフトの活用方法,文の構造化等論理的思考力と表現力を学び,ディベートもやります. この期間には5人程度のグループでテーマ設定をして論文を書く. それを英訳して発表するんです. その時間は司会も英語なら質問も答えも英語. だから極めて静かに進行する(笑).
1年生後期からは希望するゼミに分かれる. ステップです. 80人単位での授業ですが,10のゼミに. 数学や天文,国際や文学といったものがあり,この段階でもグループ研究を行い,論文にまとめます.
ステップの最終段階には,2年生のジャンプで行う個人研究の企画書を提出します. それを生徒と担当教員とティーチング・アシスタントの大学院生でよってたかって揉む. テーマを確定し,ジャンプでその研究に入って行きます.
最終的に論文にまとめる前には,ポスター・セッション. 一畳大のパネルに,立てた仮説や研究の経過,結論,今後の課題を書いて発表します. 大学生やゼミ選択を目前に控えた1年生等が質問,指摘をし,発表者がそれに応えるという過程を経て,論文にする.
——生徒たちの負担は大きいというか,大変ですよね.
そうですね. 忙しいと思いますよ.(略)
でも「しんどいけど楽しい」って言う生徒が多いのも事実. 少々荒っぽいかもしれませんが,私は訓練期間に楽な状態を作る必要はないと思うんです. 結構大変な状態の中で,生徒には考えてほしい. どのように時間を配分するか. 時間の管理能力はとても重要な,社会で活きる力だと思います. それを含めて,ちょっと背伸びできる環境を用意する事が,生徒にとって良い経験になると思います.
また,ワタミ社長の渡邊美樹さんが,日経ビジネス・アソシエ2008年1月15日号のコラム「ミキイズム 渡邊美樹が語る仕事そして夢」の第66回「30歳でプロ,40歳で一流に,キャリア形成は10年周期で」の中で,20代は仕事漬けの日々を送れと述べています.
「30歳までにプロになりなさい」——. 私がワタミ社員によく言っているフレーズです. 今は本物が評価される時代,言い換えればプロにならなければ生き残れない時代です.
プロとは,その仕事に対して周りの人が喜んでお金を払ってくれる人のことです. サービスのプロ,介護のプロ,調理のプロ,経理のプロ.... その技術と経験があるがゆえに,みんながお金を出したいと思う仕事を30歳までに身につけなければいけません.
20代は仕事漬けの日々を送れ
22歳で大学を出て8年間でプロになるためには,よほどの努力が必要です. とにかく20代は死に物狂いでがむしゃらに仕事をしてプロになる. 仕事漬けの日々を送ってほしいと思います.
決して20代で趣味に没頭してはいけません. 20代は一番元気で吸収力のある時期です. その時期に例えばゴルフなどにはまってしまったら大変なことになります. 仕事が一人前になっていないのにゴルフでシングル・プレーヤーになってしまう可能性さえあります. そうなればますますゴルフが面白くなり,仕事がおろそかになるでしょう. とにかく20代は仕事オンリーでいいのです.
学生のうちにいろいろなことを経験しておくことは大切なことですが,遊んでいてはいけません. 卒業したOBの中には,「会社に勤めると自分の時間が持てなくなるから学生のうちに遊んでおけ」というアドバイスをする人もいますが,その必要はありません.
渡邊さんのコラムには20代のゴルフの例が出ていますが,学生でも同じことです. 学生のうちに趣味に没頭してしまうと,勉強や研究がおろそかになります. また,学生のうちに没頭できる趣味を作ってしまうと,働き始めてから仕事がおろそかになる原因となってしまいます.
部活・アルバイト・ボランティア・海外旅行などは,いずれもいいことだと思いますが,やるからには自分の成長の糧となるように,10年後・20年後の自分が「時間の無駄ではなかった」と納得できることだけをやるべきです.
あなたは「学生のうちしか時間がないから」と自分に言い訳して,本当にやるべきことから逃げていませんか?
学生のうちは楽をしないでおきましょう.


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