一つ前の号ですが,日経ビジネス・アソシエ6月5日号のコラム「実践ちょい悪心理テクニック:相手を意のままに動かすパワー・プレイの極意」の最終回「原稿も資料も使わない! マイクもなしで切り抜けろ」で,内藤諠人さんが,プレゼン用の便利なツールばかりに頼ってばかりいるとプレゼン力が落ちていくと指摘しています.
内藤さんは,タクシーと足の筋肉の関係を例に挙げて,その理由を次のように説明しています.
パワーポイントが出始めた頃には,非常に便利だと感心したものだが,ここ数年は,そういうスライドを見るたびに「またか」と思ってしまう.
確かに,パワーポイントを多用する気持ちは分からなくもない. かく言う私自身,ずいぶんお世話になっている. (略)
けれども,私は今後,パワーポイントを使うのをやめようという気持ちになっている. なぜなら,私自身の「プレゼン力」というものが,パワーポイントを使うようになってから,全く向上していないからだ. タクシーばかり利用していたら足の筋肉が衰えてしまうように,パワーポイントに頼っていると,自分の魅力を聴衆の皆さんに感じさせる能力が弱くなってしまう.
タクシーよりはエレベータやエスカレータの方がわかりやすいかもしれません. そして,もともと持っていない力だと衰えようがありませんから,これからつけることができる力の方がわかりやすいでしょう.
つまり,便利だからといってエレベータやエスカレータばかり使っていると,階段を使っていればついたはずの脚力や心肺能力がつかないように,PowerPointに頼っていると自分の魅力を聴衆に伝える能力がつきません.
また,内藤さんは,PowePointだけでなく,原稿もマイクも資料もなしでプレゼンした方がいいと主張しています.
原稿もそうである. プレゼンをする時には必要ない. (略) 国会がいい例である. 原稿を読み上げる姿というのは,お世辞にもカッコいいとは言えない. そんな姿を見せるのは,男の恥である.
原稿も何も用意しないと,聴衆の目を見て話せるようになる. すると,自分の説明が本当に理解されているのか,自分の話の威力というか説得力がどれくらいあるのかなどが,きちんと確認できる. (略)
本当は,マイクすら使う必要がない. 100人程度の聴衆の前であれば,大きな声で話せば十分に聞こえる. そして,大きな声で堂々と話をしていると,妙に気分が高揚してくる. これはいったん覚えると,やめられないほどの快感だ. (略) プレゼンの達成感という点で言えば,道具に頼った時とは比べ物にならないほどの達成感がある.
余計な道具を一切使わず,自分の声,身ぶりだけで勝負しよう. そのほうが聴衆を感激させるし,自分のプレゼン力は高まるしで,願ったりかなったりである.
また,プレゼンでは,事前に資料を配布するのもやめた方がいい. 充実しすぎる資料を配布すると,話よりそちらに熱中してしまう人が確実にいる. (略)
そして,最後は自分の力に頼るしかないという結論です.
最終的に頼るべきは自分の力. プレゼン,交渉,説得の基本がここにある. たとえ会場の動作環境が悪くて道具に頼れなくとも,自分の持って来たパソコンがフリーズしたとしても,堂々と自分一人の力でなんとかできなくてはダメだ.
結局,PowerPointに頼っていてはダメだということです. PowerPointに頼っていると,プレゼン力がつかないからです.
学生が「資料(PowerPointのスライド)を作っていないから発表ができない」と言いますが,そんなことはありません. PowerPointのスライドがなくてもきちんとした発表ができるくらいのプレゼン力をつけましょう.
- Amazon.co.jp: 日経ビジネス Associe (アソシエ) 2007年 6/5号 [雑誌]
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- とうごろぐ - TOHGOLOG: プレゼンテーションの極意(2005.09.01)
ところで,このコラムが掲載されている号の特集は「『見せる書類』のテクニック」で,特別付録に「パワーポイント素材集」のCD-ROMが付いていました.


